ふと見たら、谷津干潟に降りていたカラスが飛び上がった。
エサにありついたものの、
私の視線を感じたカラスが一時その場を離れたと思った。
すぐにその場に1羽のセグロカモメを見た。
エサをめぐってカラスと争っていたのだろうか。
セグロカモメは、何かに近づいていた。
風が強かったので、生ゴミでも落ちたんだと思ったが、
よく見ると肉屋で売られているようなまっ赤な肉だった。
セグロカモメは、その肉に近寄るとついばみ始めた。
その時わかったのだが、その肉は、
横たわった鳥の胸が引き裂かれて見えていた肉だったのだ。
カモだった。
じっと手すりからその光景を見ているだけのカラス。
カモメといっても、セグロカモメは大きい。
カラスより強かったのだ。
CANON EOS-1Ds Mark2, EF600mm f4L USM, EXTENDER 2X
53分にわたり、そのシーンを撮影した。
後日、
谷津干潟自然観察センターにその写真を持っていった。
そのカモは、オナガガモの雄とわかった。
セグロカモメやカラスには、
カモの腹を引き裂く能力は備わっていない。
「あいつに違いない」
今、谷津干潟にはオオタカが来ている
(私はまだ1度もその雄姿にお目にかかったことはない)。
オオタカがオナガガモを襲い、
その後、セグロカモメとカラスが争い、
セグロカモメが残りにありついた、ということが考えられる。
観察センターの職員によれば、
セグロカモメがカモ肉に食いつくシーンは今まで見たことがないという。
そこにあるものなら、何でも食べてしまうのだろうか。
オオタカがカモの1番美味しい部分を食べ、
その残りをセグロカモメが食べた。
そして残りは、海と土へ。
サバンナのような構図がここにもあった。